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渋沢栄一さん、こんな人

2024年に予定されている新しい一万円札の顔、渋沢栄一。今年2021年の2月14日から始まるNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公でもあります。

渋沢栄一が生きた時代は、幕末から明治、大正、昭和初期。激動の時代。

幕末から明治への変遷期、文明開化で西洋化が急速に進められて行く中で、といえば、坂本龍馬や新撰組、西郷隆盛などの名前が思い浮かびますが、こんなに情熱があってカッコいい、皆のためを思って動いていた人がいたなんて!とすっかり、渋沢栄一の人柄に魅了されてしまいました。

齋藤孝さんの『図解 渋沢栄一と「論語と算盤」』では

新しい一万円札を見るたびに「これから先、みんなが益するような社会にしていきたい」と願えば、日本はまだまだ明るい方向に発展していくことができます

『図解 渋沢栄一と「論語と算盤」』齋藤孝/フォレスト出版

と、この一言に集約されている氣がします。

【近代日本経済の父】と言われるように、代表的なもので

  • みずほ銀行
  • 王子製紙
  • 富岡製糸場
  • 日本郵船
  • 帝国ホテル
  • 川崎重工業
  • 東京急行電鉄

など500以上の企業の設立に携わり、東京株式取引所という証券取引所の前身をつくり、日本に株式のシステムを築いたのも渋沢です。

【目指すは「ソーシャル・インクルージョン」】

渋沢さんの掲げた理念と在り方は一貫した、今で言う「ソーシャル・インクルージョン」だと思う。

※《ソーシャル・インクルージョン(社会的包括)》とは1990年代より欧州諸国の政策理念して掲げられ、「すべての人々を、社会的な孤立や排除から守り、社会全体で支え合い助け合いながら暮らしていこう」という考えです。

栄一は、助けられるものはとにかく助けました。(中略)自分の能力を最大限発揮して人を助けて行きます

『図解 渋沢栄一と「論語と算盤」』齋藤孝/フォレスト出版

大隈重信から大蔵省に声を掛けられ一緒に仕事をするも、結局大蔵省をやめてしまった栄一に大隈は嫌がらせのようなことをしていたそうですが、その大隈が創立した早稲田大学にも渋沢は多額の寄付をしているそうです。「助けられるものはとにかく助ける」というのはそこにも表れていますね。

「誰1人としてとりこぼさない!」と渋沢さんはこのように考えていました。

【養育院の院長として子どもたちのためにも尽力】

そして、会社だけではなく、現代の東京板橋区にある『東京都健康長寿医療センター』の設立につながる養育院の院長として、生涯、養育院廃止論の逆風を受けながらも存続させ、ここでも、分院・専門施設を開設して事業を拡大しています。

【女子教育の大切さを実感し、力を入れていました】

教育はたとえ女子だからといって、けっして疎かにすることは出来ないのである。それについて余は、まず婦人の天職たる子どもの育成と言うことに関して、少しく考慮して見る必要があろうと思う

教育と情誼(偉人とその母)

その理由として、

女子を教育して養成するのは、女子一人のためではなく、やがて善良な国民を養成するもとになるから大事だ。家庭では子どもの教育は母親に任されることが多いわけだから、女子教育は一人の女子にとどまらない

と、人が育つ過程と環境を思い、その大切さを語っています。

そして、日本女子大学校設立にも尽力します。

【利他の精神】

利他の観念なき者がいかに富を積んでも、

国が富んだとは言われない。

国家は健全に発達し、個人はおのおのそのよろしきを得て富んで行く

『図解 渋沢栄一と「論語と算盤」』齋藤孝/フォレスト出版

国富という文字を見ると堅い気がしますが、栄一の理想とする豊かな国とは特定の上級国民と言われる人たちのみが富むのではなく、国民一人一人が安心して暮らせる豊かさなのだったと思います

渋沢栄一さんの玄孫でコモンズ投信会長の渋澤 健著 『渋沢栄一 100の金言』(日本経済新聞出版社、2016年)でもこの箇所はこう取り上げられています。

【「渋沢栄一訓言集」・一言集】

現代の言葉で言うと……

利他という概念を大切に思わない者が富を築いても、それが国富につながることはない。

社会には自分だけが存在しているわけではない。多くの人々と一緒に暮らしている。その相手の気持ちを察知しているという基盤の上で、自分が最善の行動を取ることによって「見えざる手」が国の豊かさを実現しているのです。

日経BizGate  渋沢栄一100の金言 国富には利他という概念が必要である 渋沢 健氏

また、

人の交わりの根本は孔子のいう恕である

「恕(じょ)」とは思いやり

「自分がされたくないことは、人にしないように」

『図解 渋沢栄一と「論語と算盤」』齋藤孝/フォレスト出版

とも言っています。

栄一は当時から【ロジカル・デザイン・アート思考】を持った人

パリ万博を見てきた栄一。

維新後の日本に必要なのは「文運」と見抜き、製紙業を興したことなどもそういった思考法の成せる技。

製紙業については、その後、大隈重信から圧力をかけられてしまいますが、さらにその後、栄一のことを助けることになります。栄一は過去の自分に救われるといったこともありました(NHK)。

そんな渋沢栄一さん、「近代日本経済の父」どんな育てられ方をしたの?

渋沢栄一が記した『論語と算盤』、そして渋沢が生きる指針としていた『論語』の解説も交えての1冊。渋沢の考えや行動と『論語』の一節を照らし合わせ、解説されていて両方について触れることができます。

教育学者でもある齋藤孝さんの『図解 渋沢栄一と「論語と算盤」』から。

【多読のススメ】

後の富岡製糸場の初代場長、第一国立銀行の支店支配人も務めた従兄の尾高惇忠に暗記の詰め込み教育ではなく、一冊を読み込むやり方ではなく「いろいろな本を読む」という多読の方法で物事の理解力、視点、考え方を身に付けていきます。

ただ、暗唱するというやり方ではなかったそうです。

以前、テレビで観たのですが『東大に半年で受かった』という人の勉強法も、「いろいろな種類の教科書と参考書を読む」という方法でした。そのことによって、繰り返し出てくるところが重要なところなのだなとわかるそうです。

【運命を受け入れる人?渋沢栄一のここがすごい】

悪人必ずしも悪に終わるものでなく、

善人必ずしも善を遂げるものとも限らぬから、

悪人を悪人として憎まず、できるものならその人を善に導いてやりたいと考え、最初より悪人たることを知り

【「論語と算盤」・常識と習慣】

憎んだら、その美を知ることはできない

自分と合わないからと避けることなく、できるものなら、自分と合わないということを知りながら世話をする姿勢も持ちたいです。いずれ、自分と合うかもしれないからです。

憎んで避けてしまうと、その美を永久に知らないまま終わってしまいます。限られた、貴重な人生です。なるべく多くの美と出合うことに恵まれたほうがよいではありませんか。

日経BizGate  渋沢栄一100の金言「人事を尽して天命を待つ」に含まるる真正の意義渋沢 健氏

自分と違う考え方の人を遠ざけたりせずに、歩み寄ろうという姿勢を持っていたようです。

そして、人を「良くない」と批判することより、その人を善に導くには?ということを思っていたようです。

ただ、そんな栄一も、三菱財閥の岩崎弥太郎から接待を受け、自分たちだけで儲かることをしようという提案に真っ向から対立意見を述べ、この時はお手洗いに立つフリをして料亭から逃げ出したそうです。(参考:別冊 太陽 渋沢栄一 天命を楽しんで事を成す)

自分と意見の違う人、趣味が違う人、そういった人ともいったん付き合ってみることで、自分の視野も広がるし、経験も増え、また新たな発見があり、そうすると楽しみが増え豊かになれることもあると思います。

【渋沢栄一さんに思いを馳せ巡る街】

2021年1月23日放送の「出没!アド街ック天国」でちょうど渋沢栄一さん縁の地「日本橋兜町」「茅場町」が特集されていました。

明治11(1878)年、兜町に東京株式取引所という証券取引所の前身をつくり、日本に株式のシステムを築いたのも渋沢。

そしてその邸宅があった場所は現在 日証館のある場所。

みずほ銀行 兜町支店がある場所には栄一が創設した日本初となる銀行「第一国立銀行」がありました。

兜町は渋沢の構想通り金融の街として日本経済を支えてきた。

大正12(1923)年竣工の第一国立銀行 別館はリノベーションされ、2020年2月に『HOTEL K5(ケイ ファイブ)』として生まれ変わりました。デザインはスウェーデンを拠点に活躍する建築チームの監修。建築当時の床はそのまま生かされているそうです。

こちらの1階にある『青淵-Ao-』は〈ライブラリーバー〉となっていて、本を読みながらお酒が楽しめる場所です。

店名のAo(あお)は渋沢栄一さんのペンネーム「青淵(せいえん)」にあやかっています。もちろん渋沢さんに関する書籍も揃っています。

《渋沢栄一さんにあやかれるパワースポットあり!?》

渋沢栄一さんの邸宅があった場所に建っている「日証館」には竣工したときからある今も現役の郵便ポストが見られます。各階に投入口があり、そこに郵便物を入れると1階のポストに集まるシステム。

そして、面白いものでは、ロビーには渋沢が生涯大切にしていたという渋沢邸にあった「佐渡の赤石」が展示されていて渋沢の偉業にあやかれるパワースポットになっています。

「佐渡の赤石」とは佐渡市で産出される石で、古事記や日本書紀にも歌われ、古くから朱(赤)は魔を払うと言われることから、縁起の良い石といわれ、家の玄関や床の間に家の守り石として飾られてきた。豊臣秀吉に献上されたり、皇居や伊勢神宮にもあるそうです。

また、兜町のシンボル「東京証券取引所」。株の世界はとにかく『げんを担ぐ』と言うことで入り口は「良い運気が入ってくる」と言われる「辰巳」の東南。

こちらも東京株式取引所 設立時の渋沢栄一直筆のサインなどを見ることができます。(現在は新型コロナウイルス感染予防のため一般の見学は中止中)

「石」と言えば、東京証券取引所から徒歩約30秒のところにある兜神社。祠の前にある岩は源義家がこの岩に兜をかけて必勝を祈願したと言われることから「兜岩」と呼ばれている石があります。諸説ありますが「兜町」の由来はこの岩からとったと言われています。

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